著名人の闘病を通して、いろいろ病気について考えていきたいと思います。
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1986年9月6日、喉の痛み、咳が激しくなり、慈恵医科大学病院に参り診察を受け、即入院と告げられました。彼は一言「早く来ればよかったね」といって黙ってしまいましたが、その時のショックはどんなだったのでしょう。9月8日に入院。同日、気管切開術を受けて声を失った。この気切孔について、後に「穴ノアル肉体ノコト」というエッセイを書いている(『都心ノ病院ニテ幻覚ヲ見タルコト』所収)。
(中略)
澁澤はその数か月前から喉が痛むと鎌倉の耳鼻咽喉科病院に通っておりました。少しも良くならない、と病院を変えたりし、診察の時、彼は「悪性のものではありませんか」と医師に訊ねていました。その都度、心配はないといわれ、安心しているようでした。診察では、ポリープとか咽頭炎などといわれ、それを信じ半年以上も治療に通っていた訳で、その間に癌は進行の速度を旱めて行ったのです。(『澁澤龍彦との日々』澁澤龍子)